クライミング ホールドのメーカーと種類紹介(その1)

クライミング ホールドのメーカーと種類紹介(その1)

ボルダリングに必要なアイテムといえばシューズ、チョーク、チョークバックこの3点があれば気軽にボルダリングを始めることが出来ます。

特にシューズは登りのパフォーマンスに大きく関わってくるアイテムなので色々と調べたり試したりとする方は多いと思います。

と、言うことで先ずはシューズのお話からするべきなのでしょうが、それはそれ、当店は斜め上を行くので、そんなのは他のHPを見てくださいと・・・いうことで、今回は相当マニアックなホールドの世界を紹介をしていこうと思います。

通常のHPなんかではホールドメーカー何選とかいう記事を書くものかと思いますが、当店はカ・ナ・リ斜め上を行っているので、まずはホールドの材質から紹介していきたいと思います。

ホールドの材質は大きく4つに分類されます。

・ポリエステル

・ポリウレタン

・グラスファイバー

・木製

これら4種類の主原料に顔料などの混ぜ物をしてホールドが出来上がっていきます。

次は各材料について説明していきたいと思います。

ポリエステル(PE)

ポリエステル(polyester)は一口で言ってもポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどの種類があります。(大学で化学を専攻していた私としては色々と語りたくなりますがここはこらえるとしましょう。)
材質の特徴としては、材料が安価、ポリウレタンに比べて重たい、対候性、衝撃に弱い、フリクションを付けやすいといったところです。
材料の特徴から比重が大きいので大きなホールドには向かないです。
昔のホールド(特にアメリカ系メーカー)はポリエステルを使用するメーカーが多く、材料の特徴からハンドサイズのホールドが多く、大型のホールドはほとんど作られていませんでした。
近年ではホールドの中身を中空(肉抜き)することで軽量化して、ある程度の大きさまでは作られるようになりましたが、それでもポリウレタンと比較するとサイズによってはかなりの重量になるので現在では採用されるメーカーが少なくなってきています。
(ハッキリ言って近年のクライミングジムでは頻繁にホールドのリセットがされるので、ルートセッターにとっては余り好ましくないのかもしれません。)
ボルダリングには余り向いていないのかもしれませんが、リードクライミングのような屋外で使用されることも想定されるホールドは、対候性の有るポリステルを採用するメーカーもあります。
また、公園の遊具についているホールドもポリエステルが向いているので、採用されている場合が多いですね。

ポリウレタン(PU)

ポリウレタン( polyurethane)は化学式から見てウレタン結合をもった高分子化合物でポリエステルと同様に有機化合物ですね。
大きな違いといえばベンゼン環を持たないので、置換反応では無く付加反応で得られるといったところでしょうか?
材質の特徴としては、材料が高価、ポリエステルに比べて軽い、非対候性、衝撃に強い、フリクションが付けにくいといった特徴があります。
材料の特徴から比重がポリステルと比較して小さいので、ある程度の大きさのホールドに多く採用されています。
古くはヨーロッパ系のメーカーで多く採用されています。
ポリエステルと同様に、近年ではホールドの中身を中空(肉抜き)することで軽量化して、大きいものでは1mクラスの大きさも作られるようになりました。
最近では、フリクションが付きにくい問題も改善されてきており材料費もポリエステルよりも掛からない(大きさの割に小重量なので)こともあってかポリウレタンを採用するメーカーが多くなっています。

グラスファイバー

グラスファイバー(強化ガラス繊維)は、兎に角 軽い!!ですがその分 作り方によっては強度が出にくいのが特徴です。
材料費もポリウレタンより高いうえに、製造工程がポリエステルやポリウレタンのように量産に向かない為、大型ホールドに採用されることが多いです。
近年では、材料費が下がっているのか(?)50cm程度の中型ホールドにも採用されることが多くなってきました。
別の機会に紹介しますが、グラスファイバーのホールドの大部分がスクリューオンを採用されている為、比較的自由に配置することが出来ます。
特にルートセッターの方は軽くて自由度の高い設置方式なのでありがたいのではないのでしょうか?
ただ、大きいがゆえに後半のルートセットでは邪魔になることも多々あると思いますが。
こと、ボルダリングにおいてはダイナミックなムーブを作り出すために大型ホールドを使用する為、年々需要が高くなってきています。
しかし、日本のジムではスペース不足で取付が難しいジムも多いのが悩ましいところですね。
あと悩ましいと言えば、1点当たりのお値段も少々お高めなのでコストパフォーマンスが低いというところでしょうか?

木製

木製について、ここではウッドヴォリュームについて書きたいと思います。
ウッドヴォリュームは、18mm~21mm程度の合板を組合わせて、その上からフリクション塗装して製造されています。
容易に製作できるものの、塗装期間も必要なので少し手間がかかります。
最近ではDIY感覚でジムが独自のウッドヴォリューム作っているのをよく見かけます。(仕上がりはアレですが・・・)
そして丸ノコと簡単な工具で作れるので、ウッドヴォリュームを主体とした日本メーカーも多く出来ているようです。
メーカーとして製造しているだけあってヨーロッパやアメリカの先行メーカーに見劣りしない出来栄えの日本メーカが多いですが、どのメーカーも「ジャパンブランド」=「高品質」を謳っている割にはJIS規格やEN規格の採用はもちろんの如く、ISOなんかは皆無のようで、何を基準に高品質と謳っているのかよく分かりません。
例えばフリクションが良いウッドヴォリュームが最近では主流ですが、良いフリクションとはいったい表面粗さが幾らから幾らの間のこと言っているのか不明です。この辺はEN規格のホールドに関する項目でも記されていないところですが、自社基準を設けても無い様です。規格では、寸法について誤差範囲が定められています。当然JISでも一般の誤差範囲を等級によって定められているので、本当に高品質を謳うのであればこちらも自社基準が定めらていても良いかと思いますが・・・・皆無ですね。(製造における品質とは何ぞや?と言いたくなるDIYの延長の様なメーカーが多いようです。)
では、アメリカやヨーロッパの先行メーカーはEN規格を採用してシッカリ守って製造して品質チェックしているのかというとそうでもありません。これはまた別の機会に書きたいと思います。

どうでしょうか?一口にホールドと言っても数種類の材質があって、材質という切り口でけでも用途が違うことがお分かりいただけたでしょうか?
一回でまとめて書こうかと思いましたが、ホールドについては書くことが多すぎて一回では纏まらなかったので数回に分けて書きたいと思います。
次回は、シェイプ(形状)について書いてみたいと思います。

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