さて、With COVID-19の環境下で営業が再開して世間もようやく落ち着いてきましたね。
少し時間を遡りますが、営業を再開するにあたって当店も少しだけ頭をよぎったチョーク問題について書いてみます。
チョークは大きく分けて固形タイプ、粉末タイプ、チャンキータイプ(固形と粉末が混じったタイプ)、液体タイプがあります。
この中でCOVID-19(ウイルス)の撃退に効果がありあそうなのは、液体タイプです。
液体チョークには、手の油分を飛ばすためにアルコールが入っています。
では、液体チョークの使用を必須とすればクライミングジムはWith COVID-19の環境下でも極めて低リスクで利用できるのか?と、いうとそういうわけではありません。
何故なら消毒剤が機能する理由を確認すると、米国疾病対策センター(CDC)および世界保健機関(WHO)は、イソプロピルアルコール(IPA)ベースの消毒剤が容量で70-80%の範囲で最も効果的であると示唆しています。他の20-30%は水です。
ウイルスの除去におけるIPAと水の役割を説明する科学は複雑です。
ただし、一般的に言えば、水の存在はIPAの蒸発を遅らせ、IPAがウイルス細胞と接触するまでの時間を長くします。
水はまた、IPAがウイルスを除去すために必要なウイルス細胞への浸透をIPAに支援します。ということで、手がひどく汚れている、または油っぽい場合、アルコールベースの手指消毒剤は効果が低い可能性が高いです。
液体チョークは、通常、高品質の炭酸マグネシウム(MgCO3、別名チョーク)のIPA懸濁液です。
手に当てると、IPAは急速に蒸発し、チョークの均一な分布が残ります。
蒸発するIPAによる二次的な現象は、手の表面の冷却です。
ドライハンドとクールハンドの組み合わせは、クライマーにとって明らかに非常に有益です。しかし、2020年4月下旬に国土安全保障省の報告書は、コロナウイルスが涼しい乾燥環境での生存率が高いことを示す予備的な研究結果を発表しました。
一般的な市販の液体チョークには、通常40〜50%のIPAとMgCO3が含まれています。
この濃度は、CDCとWHOが推奨する70〜80%のIPA濃度をはるかに下回っています。
アルコール含有量が不十分であることに加えて、液体チョークに存在する水はチョークによって急速に吸収され、ウイルスを破壊するIPAの支援に効果がなくなります。
ただし、企業はIPA濃度が70%を超える液体チョークを生産し始めています。
IPA濃度の増加により、消毒剤としての有効性がいくらか向上する可能性がありますが、これらの製品では、IPAの蒸発速度を遅くし、ウイルス細胞へのIPAの侵入を促進するために必要な非結合水がまだ不足しています。
クライマーは、セッション全体を通して、汚れたチョークを積んだ手に新鮮な液体チョークを適用する可能性があります。前述したように、手に汚れや汚れがないと、IPAベースの消毒剤は効果を失います。
現在、消毒剤としての液体チョークの使用の有効性を支持する決定的な証拠はありません。
つまり、液体チョークはWith COVID-19の環境下では、殺傷効果はあまり期待できません。
それよりもこまめに手洗いうがいをして貰うことの方がよっぽど効果が期待できます。
と、普通ではここで液体チョークを含めたチョーク全般は期待できませんと結論づけそうですが・・・
De Montfort University(Leicester, England)の研究者が率いるチームは、表面上がプラスチックのものに付着したコロナウイルスの菌の99%程度大幅に減らすことを最近の研究で発見しました。
研究グループによると、この結果はクライミングや他のスポーツで使用されているチョークは表面がプラスチックのもの(クライミングホールドなど)経由でのコロナウイルスの感染や拡散のリスクを低下させる可能性があると示唆しています。
ちなみに、ウイルスがチョークと接触してからわずか1分以内に、すべてのサンプルの感染性粒子の数が99%以上減少したそうです。
論文は制作途中なのでまだまだ信憑性のあるデータかどうか分かりませんが、チョークそのものにCOIVD-19への対抗性があればクライマーとクライミングジムにとって頼もしい限りですね。
まぁ日本においては、もはや感染者数の数字には意味が無く死者数だけでいうとインフルエンザよりはるかに低い致死率ですけど・・・ちなみに今年の夏はCOVID-19よりも熱中症の方が遥かに死亡者数が多かったですね。